パルクールとは、年齢や性別に関係なく誰でも始められ、障害物を「走る、跳ぶ、登る、バランスを取る」といった人間に元々備わっている能力を鍛え、芸術的かつ機能的に移動するトレーニングカルチャーである。

パルクールのルーツ・語源

パルクールのルーツはフランスの軍事訓練から生まれた動作鍛錬で、ある地点からある地点への移動に特化したトレーニングだった。
パルクール の語源はフランス語の ”Le parcours”、「道」という単語の造語であり、自分の道を作り上げる、自分の道を突き進む、という意味が込められている。
後述の「YAMAKASI」の結成メンバーであるダヴィッド・ベルが、自分たちが行っているものを”Parkour”と呼ぼうと提案をした。
これが「パルクール」という単語が生まれた瞬間であった。

パルクールが有名になったきっかけ

“Parkour”(パルクール)が有名になったのは2001年公開のリュック・ベッソン監督の「YAMAKASI(ヤマカシ)」という映画である。
映画では実際にフランスで活動しているパルクールグループの「YAMAKASI」が中心に描かれている。
「YAMAKASI」という言葉は、リンガラ語で「強靭な人間」や「強靭な精神」という意味を持ち、パルクールの目的である精神的、肉体的、道徳的に強くなることを表したものである。
リンガラ語とはコンゴの民族の言語であり、「YAMAKASI」の結成メンバーのひとり、ヤン・ハヌートラのルーツである。
しかし、実はそれ以前に2000年に公開された同じくリュック・ベッソン監督の「TAXi2」にて犯人のニンジャが逃走するときにパルクールを披露している。
パルクールといえば「YAMAKASI」が有名だが実はTAXi2で先にパルクールが取り上げられていた。こちらも犯人役を「YAMAKASI」のメンバーが演じている。
そして2014年に公開された「Brick Mansions(フルスロットル)」のトレーラーにはJeep Real Gamesアンバサダーの「ZEN(LDH JAPAN)」が出演している。
「Brick Mansions(フルスロットル)」は、2004年公開の映画「Banlieue 13(アルティメット)」のリメイク版で俳優のポールウォーカーと共にダヴィッド・ベルも主演となっている。
このような映画を見てカッコいい!やってみたい!と思う人が大勢いたのではないだろうか。
ここで紹介した映画以外にもいろいろな映画にパルクールが取り入れられているので、そういった点に注目して見るのも面白いかもしれない。

パルクールの哲学

“To be Strong to be Usuful/ 強く機能的で在れ”
パルクールは強さを求める文化です。
心身ともに強くなり、他人や社会の為の力になる事を目指します。
 
“Never give up/諦めない”
強さを求める上で諦めない心を持つ事が大事です。
自分の限界を知り、限界を超える為に試行錯誤します。
 
“To be and to last/自分らしく、ずっと”
自分が自分らしくあれるように自分の道を見つける事がパルクールです。そうある為に自分としっかり向き合い、健康に自分らしく生涯パルクールをする事を目指します。
 
“We start together we finish together/皆で始めて、皆で終わる”
パルクールでは自分と向き合う事を通して他人と向き合い、自分を高めてくれる仲間の存在を大切にします。一人で出来る事には限界があり、他人から学び、影響し合い切磋琢磨する事により人としての成長があります。

引用元:MISSION TOKYOヘッドコーチMASA

冒頭でも述べたように走る、跳ぶ、登る、バランスを取るという能力を基本としている為、始めるにあたってあまりハードルは高くない。
必要なものは靴だけで、とても手軽に始められるのではないだろうか。
専用ギアを使う他のアクションスポーツは、ギアを用意する必要があるし、年齢や体に合わせてギアを変える必要もあるが、パルクールにはそれがない。

引用元:VAULTS101

ただしすぐに始められるが、地形などを活かして飛び移る・飛び降りる・回転して受け身をとるといったダイナミックな動きもあるので、着地や受け身の取り方など、基礎の習得が必須である。
どんな競技にも基礎はあるのでそこはしっかり習得したい。
いきなり高いところから飛び降りたり、危険な行為をすると怪我をするので徐々に難易度を上げていくように練習する。
パルクール=危険な行為ではなく安全に移動するための鍛錬(トレーニング)であることを忘れないで欲しい。
簡単に始められるからこそ実力を見誤りがちなので、近くで教室が開催されているならまずは通ってみることをお勧めする。
もし近くで教室がなければ、YouTubeやSNSにアップされているチュートリアルを見てトレーニングし、徐々に自分のできることを増やしていく。

練習場所

最近ではパルクール用のトレーニング施設の整備も進んでおり安全に始められる環境がある。
初心者に教えてくれるパルクール教室も開かれているので、SNSなどをチェックして教室に行くのもいい。

引用元:MISSION PARKOUR PARK TOKYO

パルクールをストリートで行うときはスポットと呼ばれる練習場所に行く必要はあるが、世界中どこにでもスポットは存在する。
いままで遊んでいた公園がスポットになったり、家の中や庭、山の中がスポットになるかもしれない。
他のアクションスポーツよりもスポットとして使える場所が多い。
東京や大阪など大都市ほどスポットになる場所が多いのではないだろうか。
アイデア次第では一つのスポットで何種類もの動きができるので、クリエイティブな部分も楽しみの一つである。
ただし周りに迷惑をかけない常識の範囲内での行動が必要である、私有地や民家などは許可を取る必要があるので避けたほうが良いだろう。

パルクール競技

基本的には競うことよりも自分との戦いだが、スピードラン、フリースタイル、スキルという競技が生まれている。
スピードランは障害物競走のような感じで障害物が置かれたコースを2人で競争しタイムを競う。
見ている方としても勝敗が分かりやすい。

フリースタイルは障害物を使い色々なトリックを決め得点を競う。
パルクール競技の花形でダイナミックなトリックが見られる。非常に見応えがあり盛り上がる。

スキルはあらかじめ課題が決められており何個クリアできるかで勝敗を決める競技。
他の競技に比べてダイナミックさが欠けるが、課題が決まっているので挑戦しがいのある競技でもある。
難しい課題をクリアした時は勝敗に関係なく達成感が得られるのではないだろうか。

フランス発祥のアーバンスポーツの世界大会「FISE」でもパルクール競技が行われ、2018年に日本に初上陸した。
FISE Hiroshima 2019では、女子スピードランで泉ひかり選手が優勝、女子フリースタイルでも泉ひかり選手が2位、男子フリースタイルでは朝倉 聖選手が4位に入るなど日本人が活躍。
今年オンラインで開催されたE-FISE Montpellier 2020の男子フリースタイルでは、Jeep Real Gamesのアンバサダーを務めるZEN(LDH JAPAN)が見事優勝を果たした。

日本国内大会としては日本体操協会主催の「パルクール日本選手権」など徐々に大会が増え盛り上がりを見せている。

日本のパルクールシーン

国内大会も徐々に増え、世界大会も日本で毎年開催されるようになり、国内でも認知されてきているパルクール。
日本にもプロのパルクールチームがあり、メディア出演やイベントなど幅広く活動している。
各地でもアマチュアのパルクールチームが結成され精力的に活動しており、SNSでも練習している様子が頻繁に上がっているのをよく見る。

YouTubeには街中を縦横無尽にスタイリッシュに駆け抜ける動画も多数アップされている。
日光江戸村で撮影されたレッドブルアスリートJasonPaulの映像は2700万回以上も再生されていて映像にはZEN(LDH JAPAN)率いるプロパルクールチーム「monsterpk」のメンバーが忍者として登場している。
やはり海外では「日本=忍者、侍」というイメージが強く、海外のトレーサーからは「忍者=パルクール」という認識があるのだろう。
そう言ったところでもパルクールと日本の文化との共通点は多いのではないだろうか。

また、パルクールは独自に進化したスポーツだが、最近は他の競技のスタイルをパルクールに取り入れようとしている日本人トレーサーも増えてきている。
そのような新たな発想で今後日本独自の動きやスタイルが出てくるかもしれない。
まだまだ新しいカルチャーなので今後の進化が楽しみだ。

パルクールで使う用語

最後にパルクールで使う言葉についてまとめておこう。
すでにパルクールをやっている方は当たり前のように使う言葉だが、初心者にはわからないことが多いので覚えておくと教えてもらう時などに理解しやすい。
・トレーサー(traceur):パルクールをやる人のこと、実践者
・スポット(spot):練習場所
・ランディング(landing):着地
・トリック(trick):技
・ジャンプ(jump):跳び
・フリップ(flip):回転
・スウィング(swing):体を振る動作
・クライムアップ(climb up):障害物に登ること
・ヴォルト(vault):障害物を越えること

始めるきっかけは人それぞれあると思うが、パルクールほど始めやすいアクションスポーツはないので気になったら是非やってみよう。
次回の記事ではパルクールを始める方向けの情報や、簡単な始め方にフォーカスを当てるので是非チェックしてほしい。