ベルト状のラインの上でバランスを楽しむ「スラックライン」

60年代にアメリカで生まれたこのスポーツは、ラインを低く設置すれば子どもから大人まで安全に遊べ、道具を揃えれば自宅でも手軽に楽しめることから、日本国内でも2010年ごろから急速に普及してきています。

この記事では、そんなスラックラインについての基礎知識全般をご紹介。
メリットやジャンル、歴史背景などの概要を、必要な道具や場所、やり方などの実践に役立つ情報と併せてまとめました。

 

▼目次

・スラックラインの基礎知識
 ・スラックラインとは
 ・スラックラインのメリット
 ・スラックラインの歴史
 ・多岐に渡る競技ジャンル
 ・日本のスラックラインシーン
 ・スラックラインのトップランナーたち
・スラックラインを始めるには?
 ・スラックラインを行う場所
 ・スラックラインに必要な道具
 ・スラックラインのやり方とコツ
・スラックラインは楽しみ方の幅が広いスポーツ

スラックラインの基礎知識

 

スラックラインとは

スラックライン(Slackline)とは、ベルト状のラインの上でバランスを楽しむスポーツのこと。

「Slack(ゆるい・たるんだ)line(ライン)」の名の通り、プレイに使用するアイテムは“弾力のあるライン”。伸縮性のないワイヤーや綱の上を渡り切ることを目的とする綱渡りと違い、ラインの上で歩いたり飛んだり、技を展開したりして楽しむことができる点が大きな特徴です。表現の自由度が高く、場所や距離によってさまざまなアレンジができるのも魅力のひとつ。

スラックラックを利用すれば室内でもできますが、基本的には木やポールなどにラインを設置して行う、アウトドアスポーツです。

 

スラックラインのメリット

スラックラインは、

・ラインを低く設置すれば子どもから大人まで安全に遊べる
・道具を揃えれば自宅でも手軽にプレイできる

という手軽さに加え、体幹や集中力の強化に効果がある、とも言われていることから、精神鍛錬や健康維持・促進、リハビリ、ダイエット、他スポーツのトレーニングとして注目されています。

 

スラックラインの歴史

スラックラインの起源は1960年代。

もともとは、アメリカ・ヨセミテ渓谷に集まるクライマーが暇つぶしに始めた、登山用ワイヤーやロープなどを使った“綱渡り”がきっかけでした。その遊びは、「スラックワイヤー」「スラックロープ」などと呼ばれ、クライマーの間で親しまれるように。

この綱渡り遊びが、現在のスラックラインの原型となる形に進化したのは1980年代のこと。クライマーのアダム・グロボスキーとジェフ・エリントンが、この綱渡りに、伸縮性があるウェビングを初めて使用し、これを「スラックライン」と名付けました。

やがて、スコット・バルカムがヨセミテの岩峰にラインを張り、その歩行に成功したことにより、クライマーの間でスラックラインが流行。そこから少しずつ、外の世界にも認知が広がっていきました。

そして、2006年ごろ、ドイツのスポーツメーカー「GIBBON」社からスラックラインセットが発売されると、「誰もが簡単に設置、練習できる」と評判になり、ヨーロッパで大ヒットとなります。すぐにその波はアメリカ、アジアにも及び、2009 年に日本へ上陸。クライミング雑誌などで紹介されるようになり、徐々にその認知度を高めてきました。

 

多岐に渡る競技ジャンル

単純にライン上を渡るだけではなく、場所も長さもアレンジ可能で、自由なプレイスタイルが魅力のスラックライン。当然その競技ジャンルも多岐に渡ります。

よく知られているのは、30m以上ある長いラインの上で高度なバランスを楽しむ「ロングライン」や、海や川など水の上にラインを張って渡る「ウォーターライン」、ラインの上でヨガを行う「スラックラインヨガ」など。また、危険性の高さ故、一部のプロフェッショナルしか行えないものの、渓谷やビルなど高い場所にラインを張る「ハイライン」(そのうち都会で行われるものは「シティライン」、「アーバンライン」とも呼ばれます)といったものもあります。

中でもとりわけポピュラーで、日本で最も競技人口が多いスタイルが「トリックライン」。ラインの伸縮を利用し、まるでトランポリンのようにライン上を跳ねながらアクロバティックな技を決めるスタイルです。空中で次々と繰り広げられる技は目にも鮮やか。トリックラインの大会には、プレイヤーたちの見事なトリック(=技)を見るために、多くの観客が訪れます。

 

日本のスラックライン シーン

日本での歴史はまだ浅いものの、省スペースで楽しめるスラックラインは、日本の狭い地形との相性が良いためか、急速に全国へ普及しました。各地で大会が開催されたり、テレビでも取り上げられるなど、年々注目度が増してきています。

2010年10月には、GIBBON主催で、スラックライン日本オープンが東京・豊洲にて開催。2019年にかけて毎年開催され、これまで全10回開催されています。

また、長野県小布施町にあるスラックラインの国内最大パーク「浄光寺スラックラインパーク」では、2017年9月にスラックラインワールドカップが開催。延べ3万人の観客を集めるなど、大盛況の結果となりました。

大会実行委員長を務めた林映寿氏は、スラックライン推進機構を立ち上げるなど普及に力を入れており、現在は、スラックラインのオリンピック種目入りを目指しているそう。

 

スラックラインのトップランナーたち

大杉徹(おおすぎ とおる)

言わずと知れた、日本スラックライン界のパイオニア。2013年にアメリカで行われたスラックラインワールドカップで日本人初のチャンピオンとなり「Gappai (ガッパイ)」の呼び名で世界中のスラックライナーから親しまれています。今あるスラックライントリックのおよそ6割はアンディー・ルイスと大杉徹によって作られており、実質的に世界のスラックラインシーンを牽引してきたキーマンでもあります。

福田恭巳(ふくだ ゆきみ)

2010年からスラックラインを始め、2012年には海外大会に日本代表として出場し、女子2位に。2013年にはスラックライン女子世界ランキング1位となり、2011年から世界選手権を5連覇。日本ランキング女子1位。2019年からJeep Real Games のメンターも務める。

細江樹(ほそえ いつき)

2017年に日本で開催されたスラックラインワールドカップのチャンピオン。日本人2人目の世界王者です。驚くことに、優勝時の年齢は17歳でした。高校卒業後は、世界最大の豪華客船「ロイヤル・カリビアン」のスラックラインパフォーマーとして渡米。地中海、カリブ海などを周遊し、2019年2月に日本へ帰国しました。

 

スラックラインを始めるには?

 

スラックラインに必要な道具

スラックラインを始めるのに必要な道具は、下記の2点だけ。

・スラックラインキット

木やポールに取り付けるための器具(ラチェット)とラインのセット

・ツリーウェア

ラインを設置する木、及び、ラインを守るための保護材。タオルなどの厚めの布でも代用が可能です。

初心者におすすめの製品は、スラックライン流行のきっかけを作った「GIBBON」社の「クラシックライン」や「ファンライン」です。ラインとツリーウェアがセットになっているので、他にいろいろと用意する手間もなく、場所さえあればすぐに始めることができます。

 

スラックラインを行う場所

スラックラインは、基本的には木と木の間に器具を設置して行うアウトドアスポーツです。そのため、公園や自宅の庭のほか、キャンプ場など木のある場所がプレイに適しています。

最初のうちはラインから転落することも多いので、怪我を予防するために、芝生や土のような、柔らかい地面の場所だとなお良いでしょう。また、第三者が気づかずにスラックラインにぶつかってしまい、命を落とす事故なども起こっています。できる限り人の多くない場所や、通行の邪魔にならない場所を見つけて設置することが大切です。

もし近くに適した場所がない場合は、土台とラインがセットになった「スラックラック」の購入がおすすめ。これを使用すれば、室内や木がない場所でも利用が可能です。

まずは手軽に試してみたい、自宅に置くスペースもない、という場合は、スポーツジムやボルダリングジムなどで設置しているところもあるので、そういった施設で利用すると良いでしょう。

都内なら、調布市にある「ウエストロック」のほか、会員のみ利用可能となりますが、ティップクロスの渋谷&池袋店でも体験ができます。愛知なら「Slackline Park Gambader」や「AIR-X」、大阪なら「スラックライン パークM」、「てんとう虫パーク河内長野」、長野県大町にある「Free base LINK」などが有名。全国にあるスポーツ施設・ラウンドワン「スポッチャ」でも、一部の店舗で利用が可能です。

Free base LINK

 

スラックラインのやり方とコツ

(1)まずは片足立ちにトライ

初めてスラックラインに挑戦する場合、まずは片足立ちができるようになるところから始めましょう。コツは、ヒザを曲げ、まっすぐ前を見ること。難しければ、両手を軽く上げてバランスを取ります。5秒、10秒、と少しずつ耐えられる時間を増やしていきます。

(2)片足立ちができるようになったら、歩く練習

両足とも30秒程度片足立ちができるようになったら、少しずつ歩く練習をしてみましょう。歩くといっても、まずは姿勢を安定させたまま、片足立ちを交互に繰り返すイメージです。視線はまっすぐ前に向け、背筋を伸ばした状態で、3秒ずつ片足立ちを繰り返せるようにしましょう。

★中央部分で揺れに耐えるコツ
中央部分は揺れが大きく、最初のうちは立つことも困難です。ここを乗り切るコツは、利き脚でバランスをとること。両手も使って揺れに耐えましょう。

スラックラインは楽しみ方の幅が広いスポーツ

スラックラインは、誰でも気軽に始めることができて、体幹や集中力を鍛えることができるなど、メリットの大きいスポーツでもあります。

上達すれば、技を身に付けたり、場所を変えてみたりと楽しみ方の幅も広く、沼にはまること間違いなし。

全国各地で開かれているトリックラインの大会は動画などでも配信されており、見ているだけでも楽しめます。ぜひこの機会に、スラックラインの魅力にはまってみませんか?